Sワールド

 同じ五月には公園パーティ、五月と十一月には軍歌会で彼と会い、十二月上旬。二日間にわたってSワールドが某社によって開催された。
 その少し前、主催者のスタッフから連絡。Sワールドのため、彼の絵を三点貸してほしいと。私は快く承諾し、取りに来る人のため丁寧に梱包して渡した。
 やがて二日間のイベントが開始。会場の壁には、私が貸した絵が飾られ、唐沢氏の司会でA先生と彼の対談があったり、Lさんのパフォーマンス、彼の主演ビデオ「食べたい」などが上映された。
 私は秘書を連れて二日とも参加。
 そして二日目の打ち上げ、飲み会が終わると、担当者が私に絵を返してきた。
「え? 手で持って帰れって言うの?」
 私は、その非常識に呆れ果てた。
 酒が入ってる上、東京から藤沢まで帰るのだ。しかも秘書を家まで送らねばならない。
額入りの絵が三点となると重量もあり、相当な大荷物だ。借りる時は私の家まで取りに来て頭を下げ、用が済めば手で持って帰れという。自分も手ぶらで二次会に行きたいのだろう。
ああ、主催の週刊×曜日とはこういう奴が居るところか、と思った。
 やがて暮れ、また一水会の忘年会に二人してお呼ばれした。その席で私と彼は、見沢知簾氏と知り合ったのである。

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