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湯河原一泊旅行
五月には恒例の公園パーティ、六月には私たちを引き合わせてくれた編集長の結婚式などがあって出席。七月には、彼の「食べられたい」出版パーティが新宿で行なわれた。Ａ先生が挨拶で、食人と食糞のことについて述べられ、実に盛り上がった。
そして十月下旬。私は彼と湯河原の温泉に行った。
まず、昼間は真鶴へ。かつて彼は、彼の名付け親でもある画家の中川一政画伯を頼り、少しばかり真鶴に住んでいたことがあったのだ。
住んでいたマンションを見てから、故・中川画伯の記念館を見学。
さらに山道をハイキングした。しかし、なだらかな斜面を少し登ったところで彼がギブアップ。
「す、少し休憩しましょうよ」
「まだ歩きはじめたばかりじゃないですか。そのバッグ、重いんですか？
中身は？」
「ピジャマだけです」
ぬわーにがピジャマだ。そんな二人の脇を、行商のお婆さんが、ものすごい大荷物を背負ってトコトコ登っていく。
「あれ見て情けないと思うでしょう？ さあ、お婆さんに負けないで頑張りましょう」
やがて展望台まで行き、一回りした帰り道、またギブアップ。
「も、もう一歩も歩けません。タクシーに乗りましょう」
「こんなところ、タクシーは通りませんよ」
「あ、タクシーだ。タクシー！」
折り良く通過した空車を見るや否、一歩も動けないはずの彼が、猛烈な勢いでタクシーを追って走りはじめた。
そして無事にタクシーに乗って湯河原の宿へ。夜には、女性カメラマンで元ＳＭ嬢のＬさんも到着し、三人で夕食。卓球をしたら、運動音痴の佐川氏に私は大敗してしまった。
他の客もいなかったから、三人で大浴場に入り、三人川の字で寝た。もちろんＬさんが真ん中だが、何事もなかった。
この時のレポートは、彼が書いてＳＭスナイパーに掲載された。
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