感謝を込めて、さらば
彼は恐らく、この文章を読み、自分の事を書いたのだから原稿料の半分を、いや、それ以上を寄越せと言うだろう。そういう人である。
もちろん払いましょう。彼が、今まで勝手に名を書いた人たち、よしりんや長嶋さん、その他諸々の人たちに支払うのなら。
そして、ここに書いたことは全て事実。創作の部分は誓って微塵もない。
だから彼の言い分や反論があるにしても、部分的なこと、あるいは感情的なものだけだろう。彼の反論を載せてくれる雑誌があれば幸い。その原稿料にて僅かでも潤ってくれれば、かつての友人として嬉しいばかりである。
プライバシー侵害で訴えるのも結構。こちらには死ねとか殺すとか言う脅迫テープもあるから、受けて立つ準備もまた万全である。金の借用書や、絵の代金振込の証拠も全て残っている。ただ願わくば、裁判の費用ぐらいは、老いた親に「泣きつ」かず、皿洗いでもして自分で稼いだ金で行なってもらいたい。
まあ、今回これを書くにあたり、プライバシーの事も考えたのだが、彼には今後世間をアッと言わせるような名作は書けないだろうし、あれ以上の事件など起こされても困る。言わば彼は、もう歴史上の人物なのだ。
私も、ポルノとはいえ文章で食っているプロだし、彼もまた作家と自称しているのだから、お互い活字で決着をつけるべく、この原稿を書いた。
有り難う。今まで楽しかった。さらば! かつての我が友、S君!
(平成十一年四月十日)
結局、この文章はどの雑誌にも載りませんでした。いま読み返すと懐かしく、実に貴重な時間を過ごしたのだったと思います。多くの人たちと知り合えたことは、今も彼に感謝しております。平成13年秋
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