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ポロンのお骨が戻ったのが、寅年の正月の五日。
ポロンの食器やトイレ、玩具などを捨て、余った缶詰やドライフードなどは愛護会に寄付をした。
お骨は冷蔵庫の上に置き、好きだった二種類の缶モンプチと、猫地蔵が並んでいる。ポロンの家はここなのだから、見知らぬお寺の地下に安置するのが可哀相になったのだ。
だから私が、いつの日か庭つきの家を建てて庭にお墓を建てるまで、ここで我慢してもらうことにした。
ポロンがいた形跡は、部屋中に残っていた。
爪で引っ掻いた壁、ソファ、襖。子猫の頃、どんどん登って網戸にイモリのように貼りついていた跡。煙草の空箱をクズ篭に投げ捨てるときも、ポロンが追っていくような気がした。もちろんカーペットのあちこちには、オシッコやゲロの跡が残っている。
そして一年経った今も、たまにポロンの茶色い毛を発見する。
「僕はねポロン、人間の女の人は一生に何十人も抱くけどね、猫は、この世にお前だけだよ」
よく、そう囁いたものだった。
でも、もし二代目ポロンを飼ったら、冷蔵庫の上にあるお骨はどう思うだろう。
もしも二代目を飼うようになっても、どうか嫉妬したりせず、長くご加護たまわりますように…。
平成十年十二月三日。もうすぐ一周忌。
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