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11日（水）
−晴れ−

　このマンションに住んで１５年余、ここは化物屋敷のようによく幽霊の出るところである。それでも愛猫のポロンがいた１１年間は控えめだったのが、ポロンが死んでこの２年半ばかり頻繁に出るようになる。
　ポロンがベッドに飛び乗る気配や重みなら良いのだが、見たこともないバアさんがじっとわしを見下ろしていたり、ひどい時には夢占では最悪とされる黒い馬などが出たりする。最初は、かなり大声を上げてしまったものだが、最近は苦笑するばかり。
　しかし昨夜は、バケツ二杯分ぐらいの髪の毛がぞろりと出たのでさすがに悲鳴を上げる。
　１１時起床。昼食はマルちゃんの蒸し焼きそば二個（刻み野菜入り）とわかめスープ。
　書類作成のため、少し三井リハウス訪問と事務所でコピーなど。
　 週プレの続きを書き、完成してメール。この毎週の連載で、気分 はすっかり昭和４８年の１７歳。

　夕食は実家に行って両親と食い、翌日の弁当も貰って帰る。別にこの歳になって親に甘えているわけではなく、せっかく近いのだから、週に数回でも顔を見せるのが、老いた両親への孝行と考えるからである。

　１１時起床。昨夜貰った弁当で昼食。

　昼すぎ、横須賀へ。高校美術部の恩師の個展。週プレ連載の読者ならご存じの青井先生。一枚ぐらい買いたいが、今は金がない。

　夜はまた実家で夕食。

　あとはひたすら、月末から連載開始の東スポの構想を練る。

　多くの女性と私の、セックスを撮ったビデオを片っ端から処分。 今世紀中に消去するという約束で撮らしてもらったのだから、その約束を遂行している。もちろん風俗や盗撮、二度と会うことのない女性の分などは、そのまま残しておこう。

　１１時起床。昨夜実家から貰ったお弁当をチンして昼食。
　不動産税のことで、近所の合同庁舎へ行く。まったく、家を立てるというのも面 倒な手続きばかりで閉口。予想外の金も大量に出てゆく。
　帰宅して、東スポのプロットとタイトル候補をまとめる。
　夕方に上京。７時、銀座の「らん月」へ。東スポの担当Ｋ氏と、イラストの明玖美さんと三人で会食と打ち合せ。松阪牛のすき焼きを死ぬ ほど食う。でもわしのような貧乏育ちは、油を引く白身の固まりが好き。
　二次会は明玖美さんの親の経営するスナック「シャルマン」。
　すすめられるままカラオケ、岡晴夫「男一匹の唄」。これは特務機関が好んで唄ったといわれる。ほか、渡辺はま子「雨のオランダ坂」、伊藤久男「君いとしき人よ」など。
　帰宅１時半。夜食はコンビニのカレーライス。 　東スポ、タイトルは「淫惑のアロマ」。連載開始は今月の３０日（月）より。日曜以外毎日。

　１１時起床。冷凍のミニ焼きそば一個とサッポロ一番ビッグ焼きそば（袋麺）一個（刻み野菜入り）とわかめスープで昼食。
　午後は、二ヵ月に一度の掃除。いつものおばさんたちが来て綺麗にしていってくれる。
　夕方まで、１月刊のグリーンドア文庫短編集の作品を、既作の中から五編選出。それにしても毎日ろくに仕事してないなあ。
　まあ今年は、一月から九月までがべらぼうに忙しかったのだ。毎月６００から７００枚は書いていたから、少しぐらい楽してもバチは当たるまい。
　年内に完成させるべき文庫本は三冊あるのだが、そのうち二冊が短編集なので、それぞれの書き下ろしも短くて済むので楽なのだ。とにかく連載中の週プレと、新連載の東スポに全力投球。
　夜はまた実家で夕食。甘えてるなあ。でも月に十日ほどしか行かないが、ちゃんと食費を毎月三万円払ってるぞ。

　１１時起床。貰った弁当をチンして昼食。
　少しテレビ見て、またグダグダと昼寝。３時すぎに起きて、事務所へ。書きかけの「刺青女教師・蘭子」の続きを書く。４時半から美人妻がパートに来て、グリーン用の短編などをコピーさせる。
　一緒に居酒屋で夕食。刺身、焼き鳥、かきフライ。生ビール一杯に日本酒二合。
　カラオケ一時間。「アイビー東京」「赤鬼と青鬼のタンゴ」ほか軍歌と寮歌など。ここのところカラオケが多いなあ。
　彼女と別れて、一人で藤沢から江の電に乗って二駅。高校時代から行っている柳小路のスナック「塔」に久々に行く。塔は来月には開店３０周年のパーティがあり、スピーチを頼まれる。ビール一本と焼酎ウーロン割り数杯、鮭缶 。

　多少二日酔い気味で、１１時に起きて冷凍食品の「ピラフ＆ハッシュドビーフ」をチンしたやつとわかめスープで昼食を済ますも、またグダグダと昼寝。こんな毎日で良いのだろうか。
　３時すぎに起きて、顔を洗い、ノロノロと外へ出る。
　銀行に寄ってから上野に出て、６時前に北京飯店へ。
　間もなく、歌謡声帯模写の白山雅一先生が来て会食。来年は喜寿だというのに元気。
　私は小学生の頃から寄席で見て知っていたので、こうして一緒に飲めるのは夢のようだ。しかも話していると、白山先生の背後に、灰田勝彦、伊藤久男、藤山一郎、霧島昇、東海林太郎などが見えてくる。すでに白山先生の芸は単なる物真似ではなく、今は亡き歌手たちを憑依させ口寄せしているようなものだろう。
　昔の歌手や芸人の話を聞く。何とも有意義な一時。
　酢豚、五目豆腐、上海やきそば、ビール一本に紹興酒二合。
　９時すぎに白山先生と別れると、ふと人恋しくなり、タクシーで吉原へ。困ったもんだなあ。帰宅深夜２時。夜食はドラ焼き一個。

　１１時起床。マルちゃん焼きそば（生麺）２個、刻み野菜入りとわかめスープで昼食。一日中、週プレ２１回目を書く。夜は実家へ行って夕食。あとは東スポの構想。

　朝８時起床。昨夜貰った弁当で朝食。
　９時前に家を出て、１０時に目黒のパラダイステレビへ。「尿意の鉄人」という番組の収録。三人の女の子がひたすらオシッコするという番組。わしは茶の作務衣に黒帯を締め、センスを持ってわけの分からない評論家としてオシッコを採点。
　和洋中と、うどん、スパゲティ、ラーメンにオシッコを入れるとか言う実に下らない内容。わしが味見するのは差し替えた本物だが嫌がる演技をした。昼食はロケ弁。
　最後、優勝者（何が優勝だ）のオシッコで絵の具を解き、色紙を書いて彼女にプレゼントした。絵は岩の谷間から滝が流れる風景、俳句は「古い毛や抜けて飛び込む尿の音」。下らん！
　緊縛する人が、女の子を縛って放尿させたが、やはりわしは生理的に緊縛の好きな人間が嫌いだ。もちろんわし自身、緊縛小説も長く書いてきたが、フィクションではなくプレイとなると、あれは単なる技の誇示に過ぎず、ややもすれば縄が主役で女性不在になってしまうのである。縛る奴は誉められたくて美しく縛るのだが、それは第三者に対してであり、当の女の子など誰でも良いのである。
「ああ、この子は縄が似合う」 と心底から思う子だけ縛れば良いのであり、そういう子は百人に一人いるかいないかだろう。
　どうしても私は密室派であり、一対一でなければ燃えないから、第三者に見せるという感覚が理解できないのだ。
　オシッコの方は、女の子たちがためらいなくどんどん出してくれたので、収録は順調に５時に終わり、日当（税引き１８０００円）もらって銀座へ。
　銀座へ一泊なのだが、デートの誘いは悉く断わられていた。
　それでもＫＦＣ麹町時代の親友の妹に電話すると、来られるというので呼び出す。まずわしも銀座へ出て国際ホテルにチェックインして作務衣などの入ったバッグを置いてから待ち合わせ場所の時計台へ。
　７時、彼女に会って夕食。ビールにワイン、唐揚げにカニクリーム春巻。さらにカラオケ１時間半。軍歌懐メロ三昧。まあ親友の妹に手を出すわけにいかないので別 れ、１１時前にホテルに戻り、バスルームでボディソープにまみれてオナニーしてから爆睡。

　いろんな夢を見ていたが全部忘れて、１０時起床。ゆっくり顔洗ってウンコして一服してから１１時にチェックアウト。
　高校時代の恩師の個展（国際ホテルから徒歩５分の画廊）を見に行ったが、先生は学校の都合で午後から来ると言う。絵だけ見て署名して、新宿へ出た。
　マイシティのレストランで、ざるうどんとミニカツ丼と生ビール１杯で昼食。本屋とパソコンショップと喫茶店などでブラブラして時間を潰してから代々木へ。立川談生さんの落語会。
　立川談修氏と立川キウイ氏はまともな古典なので面白くなし。
　談生さんは二席、「ゲロ指南」と「反魂香」。相変わらずゲロは良いが、反魂香は毒がイマイチ。二次会の居酒屋で談生さんといっぱい話す。夢野久作が好きと言うので拙著「夢幻魔境の怪人」を進呈する。
　帰宅８時。マルちゃん焼きそば２個（刻み野菜入り）とわかめスープで夕食。こればっか。完成している週プレをメールしてから、東スポの新連載一週間分を執筆。深夜３時に完成してメール。オナニーしてからパソ通 、二日分のメール返事など書いて寝る。

　１１時起床。マルちゃん焼きそば２個（刻み野菜入り）とわかめスープで昼食。こればっか。
　ヘーベルハウスから家の最終図面が届く。それ見て、あとは３時までダラダラと過ごす。毎日こうノンビリしてばかりいて、よく毎年１２冊以上の本が出せるかと不思議に思うかもしれないが、私は人が三日かかる仕事を半日で出来るから良いのだ。
　週プレの連載を読んだらしい仲も良くなかった同窓生から電話。今週号から読み始めたので、連載第１回目から今までの分のコピーを送ってくれと言う。バカか、こいつは。前にも名刺一枚渡して、本を送ってくれと言ってきたりした奴だ。本は本屋で買うことを知らないのだろうか。
　やはりポルノ小説と写真集とエロビデオは、自分で金を払って買わなければ有り難みが湧かないのだ。只で貰った奴に限って、良くないだの何だのと文句を言うのである。食うもの削ってでもエロに金を使え、バカめ！ 　雨のなか事務所へ行って少し書類の整理などし、やがて新宿へ。
　６時の待ち合わせで、官能作家仲間、藍川京さん、西蓮寺祐さん、館淳一氏、永田守弘氏と五人で居酒屋。ビールと濁り酒、純米酒など痛飲。いろいろ腹いっぱい食う。
　１０時に解散し、西蓮寺さんと二人で二丁目の「いれーぬ」へ行って水割りを飲む。帰宅１時半。

　１１時起床。２０年前に別れた恋人に再会し、亭主が死んだという嬉しい報せを聞いている夢を見ていた。鮭のり弁当とインスタント味噌汁で朝食。
　不動産税のことで税務署へ行き、さらに事務所で家の図面をコピーして税務署へ送る。夕方までダラダラ読書。
　５時半に相模大野の焼肉屋（寄席もやってる）、八起へ。メンバーも続々と集まる。唐沢俊一ソルボンヌＫ子夫婦、開田裕治あや夫婦、立川談之助ご夫婦、安達瑶、Ｋ子さんのアシと、総勢九名。
　カルビロースタンハラミホルモンを焼いて食って飲んで焼いて食って飲んで焼いて食って飲んで、エンドレス地獄、いや極楽。仕上げはカルビクッパと石焼きビビンバ、もう食えない。
　小田急、全員が新宿へ向かうのに一人だけ南へ。帰宅十時半。
　夜は東スポ少し書く。今週はイラストの明玖美さんの旅行の都合で二週分を出すため早めに着手。でも根気が続かず抜いて寝る。

　１１時起床。ピラフ＆ハッシュドビーフをチンしたやつと、わかめスープで昼食。
　銀行へ行って、このマンションのローン残金を３００万ちょっと支払って完済。このマンションに住んで１６年目になるが、これでようやく完全に自分のものとなった。でも、あと４ヵ月足らずで手放すのだが。
　東スポ執筆。夜は居酒屋でデート。生ビールに酎ハイ１杯ずつと日本酒一合。刺身、かきフライ、おでん、キムチシューマイなど。
　帰宅してからは、送られてきたパラダイステレビの、先日出たときのビデオを観る。やはり、わしは太ってるなあ�ｫ�ｫ�ｫ。

　１１時起床。冷凍食品ピラフ＆クリームシチューをチンしたやつとわかめスープで昼食。こんなんばっか。
　日中、東スポの二週目を完成させてメール。夕方は事務所に二見書房Ｙ氏来訪。１２月刊のマドンナメイト短編集の打ち合わせ。
　夜は居酒屋で、秘書の忍も交えて夕食。生ビール一杯に日本酒二合。刺身、かきグラタン、おでん、茄子焼きなど。その後ナイトパブに行って水割り数杯。帰宅１１時半。夜はダラダラと読書。
　今日送られてきた掲載号の月刊ＰＬＡＹＢＯＹ。わしのページが読みにくいぞ。ヌード写 真との競演たって、ちゃんと読む人はいるんだろうか。

　１１時起床。冷凍の五目焼きそばとサッポロ一番（袋麺）一個で昼食。一日じゅう週プレ執筆、完成。外出せず。
　夜はＫＦＣのデリバリーを注文。チキン３ケ、バーガー１ケ、フライドフィッシュ１ケ、コールスロー１ケ、ポテト少々、コーラで夕食。深夜はオナニーもせずネット三昧。４時前に寝る。

　１１時起床。昨夜の残り、チキン１ケ、蜂蜜ビスケット２ケ、コールスロー１ケ、ポテト少々、牛乳で昼食。
　東スポ途中まで書き、５時６分のロマンスカーで上京。
　７時までに渋谷パルコへ。まったく渋谷を歩いてる奴らは何か。頭の悪そうな男女と、毛唐と歩いてる女。バカとパンパンしかいない町か、ここは。どいつもこいつも「夏目漱石」なんて漢字で書けねえんだろうなあ。間違って生まれてきた無駄 な人口なんだな。
　やがて唐沢俊一ソルボンヌＫ子夫妻、稗田オンまゆら様、安達Ｂさんと合流。軽く食事してから、かつて佐川君が女王様たちにボコボコにされたアップルリンクへ。
　そこで映画「死体化粧人オロスコ」を観る。多くの死体や内臓が出てきたのは良いが、やはりつまらん。これじゃオナニー出来ん。
　汚らしい男の死体など撮る神経がわからん。単に気持ち悪いものを撮って、人が眉をひそめるのを面 白がる凡人が撮ったものだ。女性の死体でオナニーしない、つまらん奴だ。
　人間に尊厳がないんだから、死体にだって尊厳なんかあるわけねえじゃねえか。
　監督のトークまで聞いて、アップルリンクを出たのが１１時半。
　みんなで夜食。死体や内臓を見た後は、やはり焼肉。
　生ビール烏龍ハイ赤ワイン、カルビロースタンレバー山ほど、最後に冷麺。帰宅２時半。

　正午起床。ピラフ＆ハッシュドビーフとカップのミニチキンラーメンと牛乳で昼食。一日中仕事。
　東スポ３週目を完成させてメール。夜は週プレ創刊３５周年記念「２０世紀のヴィーナス」のためのコメントを書いてＦＡＸ。
　これで明日からは、１２月刊のマドンナメイト文庫にかかれる。
　今回は既作をまとめた短編集（２１歳に書いたデビュー作「蘇芳 曼陀羅（すおうまんだら）」も収録）だが、書き下ろしも一本入れる。長編書き下ろしよりずっと楽。 夕食は実家。弟夫婦や甥姪も来ていて賑やか。ビールとワインで 鍋をつつく。そして久々に風呂（私の風呂嫌いは有名。でも旅先の温泉は別 ）、すっかり伸びていた髪を剃る。

　１１時起床。昨夜実家からもらった弁当をチンして昼食。
　久々によそ行きの背広を着たが、すっかりキツくなっている。困ったもんだ。銀行へ行って、明日が納期限の市県民税を支払い（糞！　３６万×４回＝１４４万！）、少し事務所に寄って書類整理してから上京。
　東京會舘に５時着。ちょうど来たお京さん（藍川京氏）と喫茶。
　５時半より、日本文芸家クラブのパーティ。
　今回は、私の本「夢幻魔境の怪人」が短篇小説大賞の佳作、ということで受賞者の一人として別 室の控え室へ入れられる。
　そこで志茂田景樹理事長、車椅子で復帰した南里征典氏に挨拶。
　それにしても佳作とは腹が立つ。大賞の該当者ナシならともかく、大賞がいるのだ。わしはそいつより格下かい！
　まして今回は報知新聞賞を狙っていたのに、それもダメだった。絶対におかしい。今年度の報知新聞連載で、わし以上の出来はなかったはずだ。
　しかも大賞は賞金２０万と賞状と大皿が授与。なのに佳作は賞状と小さな茶碗が一個だけだ。せめて報知賞と同じ１０万ぐらい寄越さんかい！
　でも多くの仲間たちが、大賞受賞者以上にわしを祝ってくれて、それが嬉しかった。賞金以上の、わしの宝である。かつて誰にも性癖を打ち明けられなかった一変態が、性癖を書きまくったために多くの仲間に囲まれている。感無量 である。
　パーティのあと二次会。わが官能倶楽部からは、安達ＯＢ、開田あや、風間九郎。そしてお京さんや西蓮寺祐さん、つだ有美さん（夢幻魔境の挿し絵を描いたイラストレーター）、沢登みよじさん、星恵美子さん、北山悦史氏、松岡弘一氏たちと食事。だんだん数が減りながら、さらに銀座で飲み、三次会は新宿へ。帰宅三時半。

　正午起床。コンビニの白身フライのり弁当と、インスタント味噌汁で昼食。事務所で、マドンナ短篇の構想を練る。
　４時、日刊ゲンダイが「ヰタ・セクスアリス」の取材に来る。事務所前の廃屋で写 真撮影のちインタビュー１時間。美人記者相手に幼い頃からの性に関する話をしまくる。
　夕食は実家で。翌日の弁当をもらって帰り、夜はマドンナ短篇の構想と準備。
　週プレより電話。連載中の自伝小説の内容は高校卒業後も続け、１９歳の童貞喪失まで５０回程まで伸びることとなった。嬉しい嬉しい。
　もう今年もあと二ヵ月。仕事も遊びもスケジュールぎっしり。